一方通行につきUターン禁止

言いたいこと置き場

8月24日のSSA -Wake Up, Girls!に出会う日-

3月8日はSSA

Wake Up, Girls! FINAL LIVEを盛り上げるべく、ファンの間から自然発生したキャッチーかつ必要な情報を端的に表現したフレーズだ。

私も2019年3月8日にはさいたまスーパーアリーナに足を運び、私にとって最初で最後のWUG ワンマンライブに参加した。
その日は今更言葉を尽くすまでもなく、私は大いに感動することができた。

そんな私が、3月8日と同じぐらい大切にしたいSSA現場が2018年8月24日 Animero Summer Live 2018 -OK!- 1日目公演である。

YOUは何しにSSAへ?

WUGちゃんと出会えた8月24日のSSA。私はその場になぜ足を運んだのか?

それはずばり「DearDream」のためである。
最後のアニサマに輝くWUGちゃんを見に足を運んだ諸兄の記憶に残っていればありがたいのだが、セトリ上では伊藤美来さんと亜咲花さんの間に出演した男性ユニット。
ドリフェス!」というコンテンツから生まれたユニットだ。

約2年の活動の中、彼らにとってはこの日が"最初"のアニサマ出演となった。

そして惜しむらく、WUGちゃんと同じく"最後"の出演でもあったのだ。

君はウェイクアップガールズを知っているか

その日は目的こそ"ディアドリ"のためだったとはいえ、私は「ウェイクアップガールズ」を知っていた。

と言っても「これで最後の出演になる」「Polarisという曲で白色のサイリウムを」みたいな噂がTwitterで流れてきた程度だった。

どこから流れてきたのか何もわからない。
今はワグナーさんのフォロワーも多いので、WUGちゃんの話題はほぼ常に流れているが、まだウェイクアップガールズを知らない私の元になぜワグナーさんのツイートが流れてきたのか、知る由もない。

追記
多分前日ぐらいに「アニサマ」でパブサして知ったのだと思う。ディアドリ言及ツイートを探していた。

しかしこの時点ですでに私は、ウェイクアップガールズという見知らぬユニットに思い入れを抱いていたように思う。

ウェイクアップガールズさんにとって素晴らしいステージになりますように、と心の隅っこで一瞬思った。

我々は諦めてないからここに来てるんだよ(オタク特有の早口)
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リアル友人へのリプライ

結構必死だった。
同年10月の武道館ライブを最後に活動を休止する推しが存在した って記憶を少しでもたくさんの人に持ってもらえる大事な機会だからだ。

そして自分にとっても、あと3回*1のライブうちの1回だ。
これまでの私はあまり熱心に現場に通ってこなかった。
とはいえ一人暮らしの学生が県を跨ぐ移動をした上でライブに頻繁に通うのは、そこそこ立派な経済力だと思う。
最大級の素晴らしいステージに立つ推しをこの目に、脳に、焼き付けたい。
そしてアニサマというステージ。できても2曲、初出演で2曲は高望みだろうか?
本音で言えば5曲はやらないとディアドリの魅力は伝わらない……。

たくさんの人に知ってもらいたい。活動は「休止」だから終わりじゃない。こんなに盛り上がるパフォーマンスができるユニットがいるんだぞって知らしめたい。

今日の私は、そんじょそこらのオタクとは全然気合いが違うんだぞ、というオーラができるだけ表れるように、胸を張って、ユメノコドウTシャツを着て会場に向かった。

走れ未来へ

悔しいぐらいDearDreamは前向きだった。

私は残り3回のうちの1回だと思って、めいいっぱい寂しい気持ちも持って、それでも今日を楽しむためにSSAへ向かったのに、彼らは10月の武道館ライブをファイナルとも言わずに、会場の大半を占める同性の観客たちにも、いつもの一番素敵な笑顔でパフォーマンスをしていた。

私も楽しかった。初登場で、2曲もありがとう。
ディアドリのステージを盛り上げてくれた全ての観客に私も感謝をしたくて、その次のアーティストも次も次も次も次も、最後までめちゃめちゃ盛り上げてあげようって思えるような、明るい気持ちになれるステージだった。
この会場の中から、ひとりでも多く武道館に来てもらえたら良いなと思っていた。

ディアドリは、いつもいつも楽しい未来を見据えている。
その姿勢が無敵で、かっこよくて、だから応援している甲斐がある。

それでも、ちょっとぐらい寂しい気持ちを共有してもらってもよかったんじゃないかと思う。
"最初の出演"を楽しみにしてきた私は非常に満足していたが、"最後の出演"を見守りにやってきた私は、気持ちのやり場がなかった。

ありがとうの数だけ笑顔の花を咲かせたい

ウェイクアップガールズさんのことを見たことがなかった私は、それでも登場した瞬間に彼女たちが彼女たちであることがなんとなくわかった。

「笑顔」はドリフェス!でも大切なワード*2だったので、極上スマイルは刺さった。
素敵な歌詞で、イントロが流れた瞬間たくさんの人が盛り上がっていた。
ウェイクアップガールズさんはこんなにたくさんの人に知られているんだな、素晴らしいな〜なんて呑気に思っていたのを覚えている。

自己紹介を終えたウェイクアップガールズさんは、優しいピアノの音色をバックに語り出した。
3月で解散を迎えること、最後のアニサマになること、アニサマでの思い出、

「ありがとうの気持ちを次の曲に乗せて歌いたいと思うんですが」

という言葉。

重ねていました。
DearDreamとウェイクアップガールズさんを、ドリフェス!とウェイクアップガールズさんを重ねて見ていました。
寂しい気持ちのやり場がなかった私が救われ始めた。

ポラリス、というタイトルを聞いて、これだと思ってペンラを白色に変えた。

同じ夢を見てる

終わらないよ ボクらDreamer

そこから後は全部、もう、これは私とドリフェス!の曲なのかなというぐらい、感情移入をしながら初めてのPolarisを聴いていた。

ウェイクアップガールズさんから見れば、この広い会場の中のただ1人の私のことがわかるはずがないのだけど(それでもWUGちゃんは優しいから「わかってたよ」って言ってくれそう)、やり場のなかった寂しさを全部受け止めてくれていた。

私が見たかったのは、最後を寂しがる姿、惜しまれるほど楽しむ姿。
観客全員にこの時が1秒でも長く続きますようにと思ってもらうこと。

今思うとすごいと感じるのは、物語上でも、現実で活動するユニットとしても大切な楽曲であるPolarisを、初見の私でも強く共感するような、必要な人にしっかりと届く普遍的なパフォーマンスとして完成させていたWUGちゃんだ。


私は「共感」とは「ストーリーの私物化」だと思う。
もともと存在する他人の物語を、知っているか否かに関わらず、自分のものとして取り込んで、自分の物語で書き換えてしまうことを共感と呼ぶのだ。


乱暴にも私は、この日のウェイクアップガールズさんのパフォーマンスを全て自分のストーリーとして飲み込んでしまった。

しかしそれは、Wake Up, Girls!が、真のアイドルとしてあるべき姿となっていたと言えるのではないだろうか。

単純な「アイドル役のキャスト」という存在を超えて、「アニメの挿入歌的楽曲」の領域を超えて、彼女たち自身の持つ大きな思い出を超えて、観客は、偶像であるWake Up, Girls!の上に虚像を結んで、理想の姿を彼女たちの内側に見出すことができたのである。

Polarisは、Wake Up, Girls!にとって特別でかけがえない楽曲でありながら、誰にでもどこにでも重なり得る性質を持っていると思う。

Polarisがなぜそのような、聴く人に寄り添える美しい曲になったのか…という考察は歴戦のワグナーさんの方が向いているかもしれない。
なんとなく、ストーリーとしては根底に悲劇の文脈を持っているからなのではないかな、とは思う。

8月24日のSSA

そんなところで、私の8月24日のSSAの思い出話は終了だ。

「ウェイクアップガールズさん」という表記については、綴りを間違えてしまうのも良くないし、さほどまともな感想というわけでもないので検索にひっかかかるのも申し訳ないかな、と思った私が、終演後に以下のようにツイートしていたことからである。


さらなる余談になるが、当日のMC中の「私たちの道標になってくれて、本当にありがとうございます」の後、拍手の中「ありがとーー!!」と叫んだ記憶がある。これが恥ずかしいことに円盤の音源上に収録されてしまっている。(おそらく高さ、長さ、タイミング的に私の声で間違いないと思う)
円盤やdアニメストアの収録ではちょうどチャプターの切り替わり後のタイミングだ。

WUGちゃんとワグナーさんの大切な時間に水を差してしまって申し訳ない気持ちと、あの時叫べていてよかったと思う気持ちがどちらもある。
ドリフェス!だとキャストがありがとうって言ったら、オタクも返してるんだいっつも。


ここまで読んでくださってありがとうございます。
面白いオチもありませんが、私にしか書けないものになっていたと思います。
もし覚えてる方がいたら、ワグナーさんからみた8月24日のディアドリの話もきけたら嬉しいな、と思います。


それでは、読んでくださったみなさまの素晴らしい第2章を願って。


合わせて読んでいただきたい

大好きな記事です。
akiba-souken.com

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*1:武道館ライブは2018年10月20日・21日の2Days

*2:

ありがとうの数だけ笑顔の花を咲かせたい

ありがとうの数だけ笑顔の花を咲かせたい

  • 天宮 奏 (石原壮馬)、及川 慎 (溝口琢矢)、佐々木純哉 (富田健太郎)、片桐いつき (太田将熙)、沢村千弦 (正木 郁) from DearDream
  • アニメ
  • ¥255

美術館の楽しみ方

 最近、周りの人と話しているうちに「美術館で美術作品を見ることについてのハードルの高さ」が気になってきたので、初心者向けに、私流の美術館の楽しみ方を話したいと思う。
 人によってやり方の向き不向きもあるだろうから、これから話すやり方が必ずしも誰にとっても良いことではないが、誰にでもできる方法ではある。
 なお私は、昨年度、某芸大の美術学部の芸術学(笑)みたいな分野で卒業したばかりの若輩なので、それだけご承知おきいただきたい。


 先に言ったようにこれは主に初心者向けのハウツーが第一の目的である。しかし、美術のことを十分に知っている人にも、よければ試してもらいたいとも思う。
 また、このやり方で、美術作品を楽しむための「知識」ではなく「態度」を身につけてほしい。だから、これを読み終わったら電車に乗って、美術館に向かうだけで行える内容になっている。
 そして「(十分な知識がなかったために)つまらないと感じてしまった展示」をなくすための方法でもある。どんなジャンルの展覧会でも同じことができるので、このやり方を繰り返すことで「見るクォリティ」を上げて、毎回、気持ちや考え方など、何かを持ち帰ることができるようになると思う。
 ポイントは3つ。では早速話そう。

1. キャプションと美術史は気にするな

 美術のメインは「作品」であり、その作られた背景などは副次的なものだ。
しかし多くの人が、作品のタイトル・作者名・成立年・サイズや画材、その他の解説が書かれたキャプションをついつい読み込んでしまっているのではないだろうか。
 わからないことを恐れすぎて、わからないなりに見ることも立派な経験になることに気づけない。

 キャプションを読む時間があったら、作品を見たほうがいい。

 キャプションには、作品に含まれたたくさんの背景や美術史的文脈を、せいぜい200字ぐらいでまとめてある。これを制作するのは学芸員の重要な仕事であり、腕の見せ所でもある。
 しかし、たいていの美術作品を真面目に語ろうとすれば、作品1点で普通に論文1本書ける。
それを200字にまとめるとなると、抽象的な表現を使わざるを得ない場合も多いし、何食わぬ顔で専門用語が登場することもままある。
 で、結局うちに帰るころにはそんな内容まるっきり覚えてない、みたいなことになる。
 あと全てのキャプションをちゃんと理解しながら読み、絵もちゃんと見る、なんてことをやってると普通に足が疲れる。

 キャプションは全て、絵を見た後に読もう。先入観を殺して絵を見よう。
 絵を見て自分でタイトルを想像してから、答え合わせをするのも楽しい。
例えば、花の生物画を見た時に、これは花以外が全然描かれていないから「花」だな!と想像してからキャプションを見て「夢」だというタイトルだと知ったら、また絵が変わって見えるだろう。

 知識がなくても、絵や形だけでストーリーや思いを感じ取れるのが美術のいいところだから、美術史や芸術学なんかは全然気にしなくていい。もともと美醜の感覚が人それぞれあるんだから、それに従って見れば十分だ。
 どうしても学問として美術を考えたい、考えたくなった人は、その展覧会の図録を買うといい。図録の文章の部分は、展示のキャプションをそのまままとめてあるだけだったりもするが、しっかり読み返すには家でじっくり読むべきであって、やはり展示会場で立ったまま読むものではない…と私は思う。

 「もうどうしても私は知識が欲しい」という人もいると思うので、私がわかりやすい!と思う本も紹介。
 最近の本は全然わからないから絶対おすすめではないんだけど、とりあえず読んだことあるやつ。

文多め。基本の考え方から順を追って知れる。


鑑賞のための西洋美術史入門 (リトルキュレーターシリーズ)

鑑賞のための西洋美術史入門 (リトルキュレーターシリーズ)

  • 作者:早坂 優子
  • 発売日: 2006/07/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
イラスト、画像多め。気になった作家や時代だけ辞書的に引いて見てる。


ヘンな日本美術史

ヘンな日本美術史

  • 作者:山口 晃
  • 発売日: 2012/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
文多め。現代美術作家さん執筆で独自の目線という感じ。


文多め。これは2だけど1もある。2の方が現代美術に通じて来るのでおすすめ。技法のこともしっかりわかる。


2. まず早足で回れ

 これは、展覧会の"ストーリー"を把握することと、作品の第一印象を大切にすることが目的である。
 美術館の展示は、学芸員によって全体のテーマと構成をちゃんと決められている。その全体を把握すれば、細部を落ち着いて見ることができる。探索系のゲームでマップが必要なのと同じだ。

 まず早足で回って、なんとなく全体の流れの雰囲気をつかむといい。

 展覧会は、書籍と同じように、いくつかの章が設けられていることがほとんどだ。
その章が、全体でつながっていることもあれば、あまり章ごとの関連がない場合もある。
 作風の変化や作品同士の関係性は川じゃないから、わかりにくい感じに、めちゃくちゃに流れる時もある。だからわからなければ、わからなくてもいい。

 そして、全体を見た上で気になる作品を覚えておく。1の「キャプションを読まない」にも通じるが、作品の第一印象を大切にするようにしてほしいからだ。
 ここでの「気になる」はなんでもいい。もっと近くで見てみたいとか、キャプションを読みながらじっくり知りたいとか、雰囲気が気に入ったのでのんびり眺めたいとか、そういう気持ちを大切にして欲しい。
 その後、最初に戻って、気になる作品を重点的にゆっくり見る2周目に入る。

 ただ、注意していただきたいのは、展覧会によっては「再入場不可」ということがある。これは、チケットか出口においてある看板に書かれていることが多いが、わからなければ会場にいるスタッフに聞いた方がいい。
 2周目を見る時に、再入場が可能ならいったん外に出て、入り口に戻るとスムーズだが、再入場ができない場合は、展示室を逆走しなくてはいけないので、他の来場者の迷惑にならないよう気をつけていただきたい。


3. ポストカードを買って帰れ

 「2. まず早足で回れ」の続きのような感じだが、展示室を出る時、好きな作品を2、3点覚えておこう。
 ミュージアムショップではだいたいポストカードが売られているので、気に入ったものを買って帰ろう。展示されてる作品のポストカードが全てあるわけではないので、必ず2、3点候補を作っておくのが重要だ。

 展示会の目玉の作品でもいいが、習作や、ちょっと地味な風景画や静物画を狙うのもおすすめ。美術史界のお墨付きよりも自分の感性と好みを信じろ。
 いろんな展覧会見て、買って帰って飾るだけで自室がちょっとした「お前・コレクション展」になるぞ!
 小さいけど、画質は大体十分にいいので、じっくり眺めるのもいい、ファイリングしていってもいい。自分の好みの作風がわかったりするかもしれない。

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私の買ったポストカードたち(一部)

あんまり統一感がないけど風景画が多いかな。自分が描くの苦手だからかも。


おまけ:美術作品の見方で大切にして欲しいこと

 美術界では、かなり「作者の意図」が重要視されている。美術史や芸術学をやっている人たちは、もう時代背景から作家の生い立ち、人生観や哲学まで、とことん掘り下げて作品を見るヒントにしている。
 ただ、これはあくまで「そういう学問の形」でしかないと思う。
 作品解説を読んで膝を打つことが美術鑑賞だとするなら、「作品」が存在する意味がない。
だから、もっと「見る側」が主体になっていいと思う。

 そこで、「対話型鑑賞」という鑑賞法を紹介しておきたい。
英語でVisual Thinking Strategies(VTS)といって、集団で美術作品を鑑賞するやり方だ。
かなりカジュアルで、子どもでも、大人でも、知識があってもなくても参加できる。むしろ、この鑑賞法の場で知識をひけらかす方が煙たがられると思う。
 美術作品"だけ"を見てわかること、感じたことを話し合い、聞き手に専門家を置くことで身になるやり方なので、これに興味があれば美術館で行われるイベントに参加するといいと思う。最近やってんのかな。

 とにかく、美術について、知らないことを知ろうとするより、知っていることに照らし合わせて美術作品を鑑賞してくれたらいいなと思う。

 気楽に美術を鑑賞してほしい、というのは、何も考えずに見ろということではない。
 考えることは難しいことじゃない、と知っていてほしいということだ。


 言い忘れていたが、私も毎回この方法で鑑賞している。
 それぞれの一番気楽で、面白いと思えるやり方で見てくれたらそれが一番いい。



 時勢もあり、最近全然美術館に行ってないので私も行きたい。 以上。

SOUL CATCHER(S)の魅力 -マンガ表現上の特徴と作者の熱意がフツーじゃない-

はじめに

 この文章は、私が大学在学時に座学の授業での期末レポートとして提出したものである。
 素人の拙い文章だが、SOUL CATCHER(S)(著:神海英雄)というマンガ作品の特徴と魅力を客観的に伝えることができれば良いと思う。

あらすじと物語の目標

 神海英雄作、SOUL CATCHER(S)は、2013年から週刊少年ジャンプにて連載が始まり、その後少年ジャンプNEXT‼︎から少年ジャンプ+への2回の移籍をして、2016年に完結した。

 物語は、現代の群馬県を舞台に、人の心を"見る"ことができる高校2年生・神峰翔太と、同じ高校「鳴苑高等学校」の吹奏楽部に所属する天才サックス奏者の刻阪響との出会いから始まる。神峰は、自分の持つ「心を"見る"ことができる」能力によって、刻阪が人の心を掴む音が出せることを知る。人の心を"見る"ことで、音楽を正確に導くことができる神峰の才能を体験した刻阪は、神峰を指揮者として音楽の世界へ勧誘する。
 音楽の楽しさと、人の心を変えられる可能性を知り、吹奏楽部に入部した神峰は学生指揮者を志望するが、音楽初心者の異例の希望であるために各楽器のパートリーダーに認められることが必要になる。そして、他校吹奏楽部の学生指揮者の伊調鋭一、サックス奏者の弾徹也などとのライバル関係によって切磋琢磨し、鳴苑高校吹奏楽部はコンクールでの全国出場を目指す。
 神峰の人の心を"見る"能力は、作中で「共感覚(シナスタジア)」として位置付けられ、他に伊調、他校フルート奏者の吹越聖月、同校ホルン奏者の管崎舞、舞の双子の兄・管崎咲良の4名が共感覚を持っている。
 神峰と伊調は共に、共感覚で見ることのできる「虹(色)の音」を音楽の最高の表現として追求している。

作中の音楽表現

 作中では、前述した「共感覚」を持つ神峰や伊調の見る世界として音楽が表現される。特に、神峰の視点では、具象的なビジュアルで音楽が表現される。
 例えば、刻阪のサックスの音は人の心を掴める「手」、パーカッションの音は人に衝撃を与える「雷」、トランペット奏者の音羽悟偉の音は人を威圧する「怪獣」、強豪・天籟高校吹奏楽部の合奏は「虹を口の中に突っ込まれたような」という描写である。
 また、視覚化された音と心のビジュアルは独立しており、刻阪の音が「手」であるのに対して、刻阪の心はサックスのキーとキーガードの形を模している。
 神峰の能力では、演奏者・聴衆の心と、音楽の情景・印象が同一の世界に置かれ、神峰は人の心と音楽を同時に観測することで、演奏表現を高める助言を行うことができる。

 第1話では、刻阪の幼馴染み・滝沢桃子(モコ)の絶望した心を「深い海」として"見た"神峰が、刻阪に音を「真っすぐ深く‼︎突き刺せ‼︎」と指示する。無意識のうちに、演奏にプレッシャーを感じていた刻阪にそれを自覚させ、モコの心を救う手助けとなる。
 この描写に「SOUL CATCHER(S)」らしさがある。音楽は、それ単体や、個人の努力だけで高められるのではなく、音楽が聴衆の心に影響を与え、その時々で聴衆それぞれにとって独立した意味を持つものだという考え方である。

 心と音楽は具体的なキャラクターとして描かれ、登場人物の乗り越えるべき精神的な壁や、他の登場人物とのライバル関係によって、演奏シーンでの対決がバトル漫画のアクションシーンのようになる。相手が同じ曲を同時に演奏している(重奏している)場合は、一本の時間軸の上でその場面が描かれるが、コンクールでの演奏などのシーンは、異なる時間を同時に描かれている。
 op.22(第22話)で、神峰と伊調は演奏会で同じ楽曲を指揮することになる。プログラム上では、第3部2校目の演奏として「竹風高校 エル・クンバンチェロ」、3校目の演奏として「鳴苑高校 エル・クンバンチェロ」となっている。ここで神峰は、自分の立つ指揮台に同時に立っている「伊調の幻影」を見ることで、音楽による精神的なバトルをすることになる。
 また、op.69(第69話)では、県のコンクールでの「やり直しなし」の演奏を、録画された映像の様に巻き戻し、再生することで、複数のライバルとのバトルを描いている。もちろんコンクールでの演奏は複数校が同時に行うものではないので、主人公の演奏にライバルが介入してくるのは、実際はおかしい。あくまでも、精神的な「心を"見る"能力」を延長したビジュアルの表現である。

楽器の性質と登場人物の性格

 「SOUL CATCHER(S)」の前半を占める物語の目標は「神峰が指揮者として各パートリーダーに認められること」である。各パートリーダーは、その性格や神峰の見る「心の見た目」が「楽器にもたれる典型的な印象」に合わせてキャラクターがつくられている。
 トランペットの音色は、作中で「重ねた音の一番上に立つ王の様な存在」と言われる通り、強く華やかである。トランペットパートリーダー音羽悟偉は、高い演奏技術と他人に精神的圧力をかける物言いで、部員から「暴君」と呼ばれている。「心の見た目」はドラゴンのような怪獣(と内側に潜む赤ん坊)である。
 フルートは、音が柔らかく優しい印象のある楽器である。フルートパートリーダーの吹越花澄は、温厚で争いを好まない性格を持って登場する。「心の見た目」も一輪の野花として描かれる。

 同じ楽器を演奏するキャラクターは複数登場するため、全てのキャラクターがその通りではないが、鳴苑高校吹奏楽部のパートリーダーを中心に、キャラクターたちは、楽器の典型的な印象をそのまま擬人化したような性格をしている。

週刊少年ジャンプ吹奏楽を描くということ

 「吹奏楽部は運動部」。多くの吹奏楽部経験者が語る言葉である。実際は文化部に分類されるが、演奏におけるフィジカルの重要性、重たい楽器や機材の運搬、先輩・後輩の上下関係、チーム意識、大会への情熱などがそう思わせるのだろう。実際に、練習メニューに腹筋や走り込みを含める学校もある。運動部と文化部、どちらの面も持っているのが吹奏楽部である。
 運動部マンガといえば、週刊少年ジャンプでも「キャプテン翼」「SLAM DUNK」「ROOKIES」「ホイッスル!」「テニスの王子様」「アイシールド21」「黒子のバスケ」「ハイキュー‼︎」などの多くの名作が掲載されてきた。神海英雄も、2010年に「LIGHT WING」というサッカー漫画を描き、週刊少年ジャンプへの初連載となっている。
 しかし「LIGHT WING」が1年での連載終了となったことからもわかるように、週刊少年ジャンプで運動部マンガが必ず売れるというわけではない。さらに文化部マンガとなると、その部活自体の人気の少なさやマンガ表現上の地味さもあり、人気は上がりにくく、特に週刊少年ジャンプではヒット作に乏しいと言えるだろう。

 また多くの運動部マンガでは、登場人物が超人的な技巧を使って試合を行う。派手なアクションと明確な決めのシーン、それを行うキャラクター性によって、マンガ映えさせやすいからである。
 しかし、本作で超人的な技巧を持っているキャラクターは存在しない。神峰は、人の心を見ることができるが、演奏や指揮の能力とは直接関係のないものである。共感覚の他にも、循環呼吸や絶対音感などの能力が登場するが、現実でもそれらの技術や感覚を持っている人はいる。基本的に、現実で再現可能な範囲を超えない技術が描かれている。

 また、週刊少年ジャンプにおいては、男中心の人間関係で描かれる物語が求められている面もある。一方で吹奏楽部は女子人気が高く、多くの学校で女子部員が多数になる。もちろん男子部員も存在し、男子校にも吹奏楽部が存在するので、吹奏楽部=女子という見方は偏っている。
 だが、世間の想像しうる「吹奏楽部」に迎合し、物語に女子を多く登場させるとすれば、マンガのジャンルをラブコメにするという方法も当然考えられるだろう。
 しかし「SOUL CATCHER(S)」第11巻の登場人物紹介のページに載っている21人中、女子は7人である。これは、同じく週刊少年ジャンプ掲載の「僕のヒーローアカデミア」の主人公の属する1年A組が20人中、女子6人であることと比較しても大差がなく、「吹奏楽部だから」という先入観に基づかない「少年漫画」の体裁に則ったキャラクター構成であることがわかる。また、ストーリーに恋愛要素も含まれるが、主軸になってはいない。
 神海は、週刊少年ジャンプで掲載する上で「吹奏楽のカッコよさ」は、少年の活躍を通して描くべきだと考えたのだろう。第11巻の作者あとがきでは「吹奏楽で戦うとか、殴り合うとかあり得ない(中略)それでも敢えてやろうと決めたのはやっぱり『それが少年漫画の面白さだから』です。」と話している。

 また、他誌における音楽マンガとしては、「のだめカンタービレ」「坂道のアポロン」「青空エール」「四月は君の嘘」「覆面系ノイズ」などが、アニメ化・実写化が行われ、ジャンプスクエアで連載されている「この音とまれ!」もアニメ化されており、音楽マンガが世間に求められていないわけではないことがわかる。
 「読者からの人気」が物語の長さと展開を大きく左右し、そのために掲載作品の流動性が高い週刊少年ジャンプで、「SOUL CATCHER(S)」は確実に根強いファンを獲得した。どちらかと言うと人気が出にくいであろう文化部マンガ、女子人気の方が高いであろう題材、超人的技巧を登場させない作品であるにもかかわらず、本作は着実な人気を得て、掲載先を変えながらも完結へたどり着いた。
 そこには神海が吹奏楽経験者であり、自らが体験した音楽の魅力を心の底から伝えようとする情熱があったことで、「週刊少年ジャンプ」という大きな物語の上において異例づくめの吹奏楽マンガを成功させたのである。

 「SOUL CATCHER(S)」op.57(第57話)は、本作が少年ジャンプNEXT‼︎に移籍し、掲載された最初の話である。ここに神峰の「普通じゃないスかね? オレ 初心者なんで フツーとか よくわかんねェスわ」という台詞がある。この言葉は、週刊少年ジャンプ吹奏楽を描くということの本質を語っているように感じられないだろうか。



サカナクション 暗闇 レポ

 今更にもほどがあるが、サカナクション「暗闇」公演のレポートを書いたので掲載する。

 鑑賞直後に書いたメモをもとに、サカナクションのことをよく知らない人間が自分なりにまとめた稚拙な内容のため、ファンには怒られるかもしれない。

 

 

 

幕前

 

 幕前の客席は通常のコンサートよりもずっと暗かった。5,6秒ごとに銅鑼の音がなっている。お香のような香りもわずかに漂っている。最前列前の通路を黒子が歩き回っている。

 ここはどこなのだろうか、これから何が始まるのだろうかという期待と不安が混ざった気分になる。

 ステージの上には、人の胸の高さほどある5つの台が置かれている。演奏のための機材が置かれているのだろう。開幕の時間が迫ると、黒子がその台を板で囲い、人1人が入れる大きさぐらいの箱にする。

 しばらくすると紺色の衣装を纏ったサカナクションの5人が現れる。客席に一礼をして機材の台の後ろへ向かう。完全に姿が見えなくなった。

 機械音声でのアナウンスが行われる。この後、「プラクティス」として暗闇の環境に慣れる時間を設け、そこで負担を感じた人は退席するようにという内容だった。

 

 

 

ラクティス チューニング リズムのずれ

 

 徐々に視界が暗くなっていく。暗闇の世界に穏やかに導かれるようで、眠りに落ちる感覚に似ていると思った。

 メトロノームの音が2つ。テンポが異なるので、重なったりバラバラになったりする。

 バイオリンの音は右上から降ってくるように聞こえる。

 ベースの音は反対に、左上から落ちてきた。

 ほとんどメロディーと言えるものはなく、リズムと和音が漂うような音楽だった。

 暗闇という環境が故に、どんどん聴覚が鋭敏になっていくのを感じる。

 自然界に存在しないような真っ暗闇だった。

 どんな音楽が生まれてくるだろうと、耳に意識を集中させるが、普段の生活の中で「耳をすませる」よりも、もっと強く音を拾おうとする。

 「聴覚の暴走状態」とも感じるぐらい、目の前で起こることを、耳の先で起こることを全力で知覚していた。

 

 

 

第一幕 Ame(C)

 

 暴走している聴覚に、雨音が叩きつけられる。

 220度に設置されたスピーカーから流れる雨音に、雨に降られている錯覚すら覚えるが、体は濡れない。

 雷鳴とともに、ステージのスクリーンには落雷の映像が点滅する。何度も雷鳴が響くうちに、映像は白い円に変化する。白い円は、網膜に焼き付けられて、様々な色彩に変化しながら虚像を結ぶ。それはステージを彩るセルフのライティングになる。

 入道雲の映像も点滅する。

 点滅とともに、客席が照らされる。傘をさした黒子が、客席の通路に並んでいるのが見える。

 雨音に混じって、プラクティスで聞いたような音楽が聞こえる。リズムが主体で、メロディーの流れはほとんどない音楽。いつの間にか雨音は消え、リズムが会場を支配していた。

 リズムは観客を十分に盛り上がらせたあと、再び現れた雨音に消えていった。

 

 

 

 

第二幕 変容

 

 一般的な住宅のキッチンの、テーブルに置かれた湯のみと、その向こう側でこちらを見つめる女性の映像が流れる。

 今度はメロディーのある音楽が流れた。「揺れてる茶柱」と歌い上げる。

 穏やかなメロディーは、打ち付けるリズムに変化したり、また穏やかなメロディーに戻ったりを繰り返す。

 ふと強く茶の香りを感じる。視界が閉ざされているから、自分の生み出した幻臭なのか、ステージ上に何かがあるのか、判断がつかなかった。

 自分の方に向かってくる音を、肌で感じるようになった。音の正体が空気を揺るがす波長であったことを思い出した。

 やがて星のような光が見える。だんだん増えていく小さな輝きは、投影された映像なのか、自分が生み出した空想の世界なのかと考える必要があった。

 リズムと歌唱、メロディーが繰り返され、重なり合い、チラチラした光だった映像は徐々に白い水面に変化していった。

 

 

 

 

第三幕 響

 

 機材の台の前に、鐘・拍子木・和太鼓・パッド・鈴・鳴子のような木製の楽器が並べられた。

 台の前に出てきたサカナクションは、それぞれ楽器を手に取る。

 ゆったりと、凛々しく鈴が鳴らされる。それにあわせて、客席の通路に並んだ黒子も鈴を鳴らす。

 和太鼓、拍子木、鈴、木製の楽器の順番にスポットライトが当たり、フレーズを重ね合わせていく。

 和の響きに対立するように電子音の重低音が響く。

 全体のリズムがまとまっていき、ここでもやはり肌で音の波を感じ取るように聴いていた。

 

 

第四幕 闇よ 行くよ

 

 ここまでのプログラムで、暗闇での音楽体験は十分だと感じていたが、さらにその先があった。

 音数が増え、スピーカーひとつひとつを順番に使用することで、視界がぐるぐる回っているかのように感じる。もはやジェットコースター。

 光も視界の端から端へ駆け巡り、ステージに吸い込まれていくような感覚も覚えた。

 音の波を、聴覚の海を自由に泳ぐ「サカナ」になった気分だった。

 体に打ち付けるのは水ではなく音楽。肌にぶつかって流れ去る音が疾走感を生む。

 「僕たちはこの海を楽しみます。君はどうする?」と問いかけられているようだ。「闇よ 行くよ」とは、聴衆に対する挑戦の文言。英訳するなら「Are you ready?  I’m ready.」。ならばとその波に身を任せる。

 全てが終結すると、ステージが明るくなる。ステージにバックスクリーンはなく、空っぽでコンクリートが剥き出しのバックステージがあらわになっている。

台の前にサカナクションが姿を表すと、観客から大拍手が贈られる。

背を向けてステージの奥へ歩み出すサカナクション 。惜しみない拍手を贈る観客。

暗転するステージ。

終幕。

 

 

 音楽は立体である。/ 感想

 

「音楽は立体である。しかし、視覚はそれを見えないようにする霧だ。」

 

音楽制作というトンネルをくぐる度、いつもこの言葉と対峙します。

しかしライブというドキュメントでは、その言葉は意味を成しません。

 

音だけでなく、演奏する姿、照明、映像、様々な演出が折り重なり、一つのイメージを構築し、時代を切り取ることが

ライブの性質でもあるのです。

 

では、視覚情報を遮断したライブを行うとしたならば、

どのような体験になるのか。

 

以前、千葉幕張メッセでライブを行った際、「壁」という曲を、

照明は全く使わず、暗闇の中で演奏したことがありました。

 

楽器、FOHの機材からの光、会場常設の灯りなど

多少の光の漏れはありましたが、あの時僕らが感じた「闇」という力、

目に見えないことで聞こえてくる音の存在、体験。

 

それが今回の暗闇ライブの発想に繋がったと言っても過言ではありません。

 

あいちトリエンナーレの協力により、チームサカナクションの悲願でもあった、

完全暗転を使用したライブ演出を行うことができました。

 

映像、言葉、匂い、会場の響き、完全な闇の中だからこそ体感できるライブを、

我々チームサカナクションがここ愛知県芸術劇場にて実践致します。

 

楽しんでいただけることを祈っております。

 

サカナクション 暗闇 KURAYAMI パンフレットより

 

 「音楽は立体」「視覚は……霧」という文言から、聴覚だけを使って音の隅々までを繊細に受け取ってほしい、という思いがサカナクションにはあったのだろう。

 多くの人間が、視覚優位で情報を得ている。その視覚を奪うことで、完全に聴覚(あるいは嗅覚)に集中することができる。

 一方で、「音楽は立体で……それを見えないようにする」と言うように、鑑賞者が音を視覚的なものとして捉え、想像を膨らませることがあると想定されていたのだろう。220度に設置された音は、イヤホンで聞く音楽とは全く異なり、広いホールの中で、様々な角度から自由に立体物を創り上げているようにも感じられた。皮肉なことだが、わざわざ視覚を遮断した状態であるのに想像力は音という聴覚情報を視覚情報へと変換したのである。

 

 また、音楽を聴くという行為は身体全体を使ってすることだと改めて実感させられた。

 それは、この公演の中で呼び起こされた鼓膜だけではなく肌全体で音を受容する(しているかのような)体験であり、音楽の拍動に合わせて身体を揺らしたいという欲求だ。

 もともと音楽に合わせて身体を揺らす・音楽にのるという行為を理解できる人は多く、音楽にのって体を動かす経験は、たくさんの人が持っていると思う。この公演が、シッティング形態での鑑賞だったことを惜しく思う人もたくさんいただろう。(完全な暗闇でのスタンディングは安全上よくないと思うが)

 

 とにかく、全く想像を超えた新しい体験だった。全力で観客を調教してるな…と思った。楽しいというのが一番だった。

 

 第二幕では、ステージの上で実際に茶を焙じていたという。終演後に、ロビーで「闇茶」として数量限定で販売していたのは面白かった。手に入らなかったが。

 

 鑑賞後に、公演を一緒に見た先生とお刺身(魚)を食べたのも面白かった。もしかして、サカナクションファンあるあるだったりするのだろうか。

 

 

ドリフェス!楽曲を語りたい!!!!!!!!(途中)

※途中です!!!!!!!

(Real Dream!まで完了してます)

これは、中学で音楽歴が途切れた人間が、なんとなくそれっぽい事を言いながらドリフェス!楽曲を語る記事である。

この記事の中では、アニメで使用された曲のみ紹介する。アニメで使用されなかった曲も別記事で語りたいと思う。

曲名の後に歌唱メンバーを記すが、長くなるので❤️を使用する。下記凡例。

❤️→ 天宮奏 as 石原壮馬

💙 → 及川慎 as 溝口琢矢

💛→ 佐々木純哉 as 富田健太郎

💚→ 片桐いつき as 太田将熙

💜→ 沢村千弦 as 正木郁

🧡 → 風間圭吾 as 戸谷公人

🖤→ 黒石勇人 as 株元英彰





1期

1話 〈グローリーストーリー〉

❤️💙💛

作詞・作曲:奥村愛子

編曲:渡辺和紀

 君は奥村愛子先生を知っているか。奥村先生が作曲を手がけた作品の中でも、戦国鍋TVの「敦盛2011」は最も有名と言っても過言ではないだろう。ちなみに私はほぼ知らなかった。「敦盛2011」も1回聞いたくらいだった。でも覚えていた。あ〜あの、少し前の流行曲みたいな!とすぐに思い出せる。

 この「グローリーストーリー」も、そんな奥村先生節が全開の楽曲である。「少し前の流行曲」を感じさせるのは、歌詞の「〜〜さ」という語尾か、「理想郷」と書いて「シャングリラ」と読ませることか、チープなシンセだろうか、打ち込みのドラム音だろうか、素直なメロディー進行なのだろうか。

 この曲でドリフェス!に落ちる人は多い。アプリのミュージッククリップ第1弾としても使用されている。アニメでもミュージッククリップでも、TRAFFIC SIGNALの3人はぜんっぜん歌詞に関係ないヴァンパイア(ヴァンパイアロードシリーズ)と聖職者(クールプリーストシリーズ)の衣装を身にまとっている。ドリフェス!の世界では、好きな曲に好きな衣装を選んでいいこと、「好き」に決まった形などないということ、そしてドリフェス!の世界観を打ち出す歌詞が、従来よりアイドルの応援に熱を注いでいた人間をハッとさせる。

 ライブでは、両サイド膝立ちの振り付けで悲鳴が上がる。

 1st LIVE TOUR「ユメノコドウ」では、下記のメンバーでシャッフルユニット曲として披露された。()内は公演箇所。

 ❤️💙🧡(大阪)


ドリフェス!ビデオクリップ01「グローリーストーリー」

グローリーストーリー

グローリーストーリー





2・3話 〈2032〉

2話 ❤️💚💜

3話 ❤️💙

作詞:こだまさおり

作曲・編曲:本田光史郎

 君はこだまさおり先生を知っているか。絶対知ってるだろ。2次元コンテンツを中心に、ものすごい数の神作詞を行ってきた方だ。

 アニメ本編では「2032」の詞の内容について深い言及がある。人と人との別れの話、感情湿度が高めの歌詞を、さっぱりしたバンドサウンドに乗せた曲。穏やかな雰囲気の中、イントロアウトロではエレキギターが歌い上げる。

 作曲の本田光史郎先生はベーシストであり、この曲でもベースラインが豊かに展開する。最もわかりやすいのは2番Aメロの「あの笑顔を」の部分だろう。ぜひ注意して聴いていただきたい。

 少々アンバランスさを感じるこの曲は、未熟な感情、未完成の状態を嘆くのか、憂うのか。それぞれが受け取ったままに、空白を埋めてほしい。

 「Welcome To D-Four Production」には、❤️💙💚💜の4人版が収録されている。

2032 ~奏 & 慎 ver.~(TV-size)

2032 ~奏 & 慎 ver.~(TV-size)

  • 天宮奏(石原壮馬) & 及川慎(溝口琢矢)
  • アニメ
  • ¥250

2032

2032

  • 天宮奏(石原壮馬), 及川慎(溝口琢矢), 片桐いつき(太田将熙) & 沢村千弦(正木郁)
  • アニメ
  • ¥250





4話 〈BARDCAGE〜欲望の鳥籠〜〉

❤️💙💛

作詞:松井洋平

作曲・編曲:飯塚昌明

 ゴリッゴリのロック。バリッバリのバンドサウンド。重低音がいい。イントロからハイテンションでAメロに入り、Aメロ後半直前に小休止する。Bメロでは拍取りが半分になり、インストが弱音になった「Brake Throgh the...」のフレーズでサビのメロディーを立ち上げる。盛り上がる要素しかない。

 ドリフェス!の登場人物は優等生揃いだが、だからこそ檻を破ってやろうという歌詞が光る。

 そんなアツいバンドサウンドと歌詞に、3次元のライブにおいては「UO曲。火を出してほしい」との意見も見られる。ドリフェス!の現場では、檻は破らない良い人が多いので、そこまで派手にUOを使用しているオタクはいない。火は出してほしい。

 また、アニメでは登場しない2番Bメロの歌詞だが、

青いままの情動、赤くヒリツく興奮

 がそれぞれ担当色の歌詞割りになっており、そういうの大好きだ。

 「FACE 2 FAITH」にKUROFUNE版、「SHUFFLE LIVE 01」にシャッフルユニット版(💛💚)が収録されている。

BIRDCAGE ~欲望の鳥籠~

BIRDCAGE ~欲望の鳥籠~

BIRDCAGE ~欲望の鳥籠~

BIRDCAGE ~欲望の鳥籠~

  • 黒船
  • アニメ
  • ¥250

BIRDCAGE ~欲望の鳥籠~ ~純哉 & いつき ver.~

BIRDCAGE ~欲望の鳥籠~ ~純哉 & いつき ver.~

  • 佐々木純哉(富田健太郎)、片桐いつき(太田将熙)
  • アニメ
  • ¥250





5話 〈薔薇の三銃士〉

❤️💙💛

作詞:松井洋平

作曲:田熊知存

編曲:YUPA

 私はこの曲で沼に落ちた。チェンバロのソロから始まり、歌唱のソロパートの盛り上がりを受け継ぐオルガンの音色とシンセ音。テンポアップしてストリングスがイントロを奏でる。このゴシックな世界観が!!!!!!!好きです!!!!!!ありがとうございます。

 そしてAメロ後半ではギターのカッティングがさりげなく、かつアツく盛り上げていく。こういうゴシックな曲でギターとか、打ち込みのドラム音・ベース音とかが支えてるのめっちゃ好きなんですよマジで…。

 またイントロからピアノも鳴っている。ゴス感はチェンバロ、感情表現にピアノ。親子的な成立背景のある楽器だが、2種類使ってもしっかりとそれぞれの役割が与えられている。

 歌詞はというと、なんだか乙女ゲームちっくなのだが、Aメロでは「三銃士」同士のライバル意識を表現されていて、アニメ本編のTRAFFIC SIGNALの3人が全員リーダーをやりたがる回の挿入歌としての文脈にしっかり沿っている。

 「FACE 2 FAITH」には、KUROFUNE & 石原壮馬(as 天宮奏)版が収録されている。

 1st LIVE TOUR「ユメノコドウ」では、下記のメンバーでシャッフルユニット曲として披露された。

 ❤️💚💜(東京)  💙💛💜(福岡)  ❤️💛💚(愛知)

薔薇の三銃士

薔薇の三銃士

薔薇の三銃士

薔薇の三銃士

  • 黒船 & 石原壮馬(as 天宮 奏)
  • アニメ
  • ¥250





6話 〈STARTING TOGETHER〉

💚💜

作詞:結城アイラ

作曲・編曲:藤末樹

 ギターのカッティングとシンセが細かいリズムを刻む明るいダンスミュージック。

 作曲の藤末樹先生は、現行のアイカツ!シリーズ「アイカツフレンズ!」にも数多く楽曲を提供されている。後述の 君はミ・アモール、別記事に掲載予定の ユレルMIDNIGHT、BEST☆★PARTNER も作曲されている。すでにお気づきだろう。どんなジャンルでもめちゃくちゃ盛り上がる曲を作られる方だ。

 イントロの「Na Na Na Na〜」のフレーズに始まり、サビに行くまでに、A1メロ・A2メロ・Bメロ といったように構成されており、メロディーの変化に富んだ曲である。

 対して全体的に似たようなリズムを奏でるインスト。その中、Bメロでギターの少し切ないメロディーが流れるのが、サビの明るさを強調していて良い。

 掛け合いながら進んでいくA2メロは、幼馴染でもある いつきと千弦のデュエットの相性の良さを目一杯発揮させる。

 元気いっぱいなリズムに、マイナーな響きをを織り交ぜる。決して隠しているわけではないが、どこかに潜んでいる葛藤を前向きに前向きに捉える歌詞。

 「出会えた理由は オレたちがいちばん知ってるから!」という歌詞は、むしろ3次元の彼らを意識した時に響くだろうか。

 「Real Dream!」にはDearDream版が収録されている。C間奏のフェイクは必聴。

 1st LIVE TOUR「ユメノコドウ」では、ダンスメドレーとして披露されたが、わずかにテンポを早めたアレンジだった。

STARTING TOGETHER ~いつき & 千弦 ver.~(TV-size)

STARTING TOGETHER ~いつき & 千弦 ver.~(TV-size)

  • 沢村千弦(正木郁) & 片桐いつき(太田将熙)
  • アニメ
  • ¥250

STARTING TOGETHER

STARTING TOGETHER

  • DearDream
  • アニメ
  • ¥250





7話 〈シナリオ〉

🖤

作詞:松井洋平

作曲・編曲:高橋 諒

 黒石勇人がバンドマン時代に作詞作曲した曲なので、当然のバンドサウンド

 これ、アニメ冒頭ではアウトロしか流れず、中盤でアカペラで歌っているシーンなので、同一曲として認識できない。なんならEDでの挿入歌テロップもなかった。つまりなんと、CD手に入れるまでここまでしっかり成立している曲だってわからない…。私もそうでした。

 ギターのアルペジオから始まり、二分音符でピアノが鳴る。KUROFUNEの曲では、ピアノの音色がかなり決めどころに絞られて使われている。この曲でもイントロ8小節のみの登場だ。

 ピアノのピュアな響きをかき消すように歪んだギターが鳴ると、シンセとドラムが加わる。コーラスで盛り上げたイントロが終わると、Aメロ前半はキックとギターのみのシンプルなインスト。Bメロでは拍取りが半分になり、落ち着きながらもゆっくりと盛り上がっていく。サビの「飽きたんだろ?」「他人に紛れて」の部分では、詳しいことはよくわからないが、何かを切り開くような、印象的なハーモニーになっている。

 歌詞は、アニメ本編でも

命を感じるって瞬間に飛び込んで

 のフレーズに合わせて風間圭吾が音楽室の扉を開くことからも、単純に黒石勇人の葛藤を歌ったものとして扱われているわけではないことが伺える。というか歌詞を読み込めば読み込むほど、風間圭吾の話にしか聞こえなくなってくる。

 先に「黒石勇人の葛藤」と述べたが、ロックアートティストとして葛藤を歌うなら、もっと力強い歌声での表現も可能だったと思われる。ここでは、たとえ届ききらないメッセージだとしても、やけにならずに丁寧に歌い上げるという、黒石勇人の音楽への向き合い方が現れているようにも思う。

 サウンドトラックには勇人ソロver.、「ARRIVAL -KUROFUNE Sail Away-」にKUROFUNE版が収録されている。  

シナリオ ~勇人ソロver.~

シナリオ ~勇人ソロver.~

  • 黒石勇人(株元英彰)
  • アニメ
  • ¥250

シナリオ

シナリオ

  • 黒船
  • アニメ
  • ¥250





7話 〈君はミ・アモール〉

🖤🧡

作詞:結城アイラ

作曲・編曲:藤末樹

 アニメ版では、アコギのメロディーからイントロが始まるが、フル版では心臓音にシンセ音がフェードインする形でイントロが始まる。この心臓音、ライブでは、KUROFUNEの登場に非常に効果的に使用されている。

 フラメンコを彷彿とさせる情熱的なアコギの音色が印象的。2番Aメロでは、ボンゴの音色も響く。

 「Mi Amor Eterno」はスペイン語、この曲には英語の歌詞も含まれているが、風間圭吾はフランス語を組み込んでプリンスとして即位する。なんというか多国籍という感じだ。(完全に余談だが、3次元のキャストによる配信番組「ドリフェス!研究室」では、中国語講座も行なっている。ドリフェス!オタクは何ヶ国語対応すれば良いのだろうか)

 全体的に大人っぽい恋愛の歌詞かと思いきや、

それぞれのCard その愛が 勇気になってく

Just Change!Reply Your Call , I Reply Your Love

 とのように、サビではグローリーストーリーにも通づるようなドリフェス!の美学が語られる。

 イントロの、腕を上げ左右に動く振り付けは、KUROFUNEご本人も含め「カニダンス」と呼ばれている。

 BATLLE LIVE KUROFUNE vs DearDream では、DearDreamによって披露された。

君はミ・アモール

君はミ・アモール

  • 黒船
  • アニメ
  • ¥250



8話



9話 〈NEW STAR EVOLUTION〉

❤️💙💛💚💜

作詞:結城アイラ

作曲・編曲:山口朗彦

 DearDreamの原点とも言えるこの曲。C間奏には、ダブステップ(の中でもワブルステップ)の音使いが取り入れられている。このダブステ的音使いは、PLEASURE FLAG、Tommorow's Songへと引き継がれる。キラキラのアイドルソングに見せかけて、ブロークンなギャップを披露する。C間奏8小節目3、4拍目なんてカットアップでバッキバキに決まってる。ダブステップによる3次元でのダンス映え効果が半端ない。

 コール詞が多いのも特徴。と言っても、現場ではイントロの、

Wow (Wow) Can't stop melody (Hey)

 のように、覚えやすく間の取りやすい部分ぐらいしか声に出さない。推しの声をかき消さないで聴きたいタイプの方が多い印象だ。

 印象的な手の振りが多く、振りコピしやすい。現場では「Give me more chance」の振りがバッチリ揃ったオタクたちが見られる。

  Aメロラストの、

早く早く追いつきたい追いつかれたい!

 という歌詞のエモさはすごい。2次元と3次元が競い合い助け合い進んでいく「5次元」を掲げるジャンルになる(この曲の発売当時は2.5次元だった)のにぴったりと寄り添ってきた歌詞だ。

 Cメロの、

心のどまんなか ずっとあった寂しさ

影ばかりを追ってた幼い日の記憶

 の部分は、ドリフェス!にしては珍しく薄暗い感情が描かれている。これが1stシングルとしてリリースされたのは、やはりドリフェス!が「壁を超えていく物語」として扱われようとしていたからだろうか。今でさえ明るく、幸せな雰囲気に満ちたコンテンツとして見られるかもしれないが、2次元の7人には少なからず乗り越えなければならない壁があった。決して向き合うことが簡単ではない「壁」を超え、サイコーを超えて「煌めいてる一番星」へと前向きに向かう中でも、辛い感情を持つことではなく「笑顔」を大切にしていく姿を描かれてきたのは、両次元の14人の人格が物語の大きな舵を取った結果だろう。

 また、キラキラしたシンセ音を何重にも重ね合わせた爽やかなアイドルソングは、山口先生の十八番とも言えるだろうか。他のコンテンツ・アーティストにも、キラキラであふれた素晴らしい楽曲を提供されているが、物語の根幹に関わる曲を、合計5曲も提供している男性アイドルコンテンツは他にない。さらに言えば、前述したダブステップ的な要素を、DearDreamの唯一無二の個性として取り入れてくださった(すべてチェックしたわけではない。おそらく他コンテンツの楽曲には使われていないだろうという憶測)のもこれ以上なく素晴らしい采配だとしか言いようがない。

 山口朗彦先生に、最上級の、最高の、サイコー超えた感謝を。

NEW STAR EVOLUTION

NEW STAR EVOLUTION

  • DearDream
  • アニメ
  • ¥250


ドリフェス!ビデオクリップ03「NEW STAR EVOLUTION」


DearDream / デビューシングル「NEW STAR EVOLUTION」 - Music Video

 サウンドトラックには、「ドリフェス!ラジオのテーマ」として、インスト版とも違うアレンジが収録されている。





10話 〈Dream Greeting!〉

❤️💙💛💚💜

作詞:結城アイラ

作曲:ittle TYNs

編曲:伊藤賢

 NEW STAR EVOLUTIONのカップリングであるこの曲は、エレクトロなサウンドから一転したバンドサウンド。イントロ、Bメロ、サビではブラスも鳴っていて、ドリフェス!らしい明るくて元気溢れる楽曲である。

叶え!この願いよ

放て!その想い込めた Your greeting card

行こうよ!!夢の旅へ

 と、サビのフレーズで始まるこの曲。

 グリーティングカードとは、誕生日・クリスマス・暑中見舞い・バレンタインなど、記念日に親しい人へ贈るメッセージカードのことである。が、ここでは当然、それだけでなく「ドリフェス!カード」通称「ドリカ」のことを指しているのだろう。「特別な日」に「親しい相手(Dearest)へ」心を込めて贈るのは、グリーティングカードも、ドリカも同じだ。

 そしてアニメ本編に沿って歌詞を読むとすれば「スーツケース」に洋服や日用品を詰めて、ひとりニューヨークに旅立つのではなく、「ありったけの夢のかけら」をつめこんで、5人で、たくさんのファンと共に、「夢の旅へ」旅立った。ということになる。

 NEW STAR EVOLUTIONが、自分がどうやって道を進んでいきたいのかを強く歌った歌詞であるのに対して、この曲では、共に進むファンに向けて強く呼びかけてきている。

 そしてラストサビでは、

届け!この想いよ

飛ばせ!その願い込めた Your message card

行こうよ!!夢の時間(とき)へ!

 と、歌詞が微妙に変化している。それまでの「叶え!〜〜放て!〜〜」の歌詞が、ファンに向けたメッセージだとしたなら、こちらの「届け!〜〜飛ばせ!〜〜」は、歌っている自らに呼びかけているように感じられる。

 2016年のHANDSOME FESTIVALにて、初めてKUROFUNEも含めた7人が揃って披露した曲でもある。

Dream Greeting!

Dream Greeting!

  • DearDream
  • アニメ
  • ¥250


ドリフェス!ビデオクリップ02「Dream Greeting!」

11話



12話 〈ARRIVAL -KUROFUNE Sail Away-〉

🖤🧡

作詞:松井洋平

作曲・編曲:中土智博

 クラップの表拍とピッチが上昇していくシンセ音の裏拍。裏でかすかにピアノの音も聞こえる。ノイジーなエフェクトのかかったボーカルと、ワブルステップの音色も含んだイントロ。

 で、この曲のアニメ版はスタートするのだが、フルバージョンでは冒頭3小節は付点四分音符でベルが鳴る。さらに、エフェクトのかかるボーカルの前に、サビのフレーズも登場する。

 音色だけ聞けば、キラキラ感は前述したNEW STAR EVOLUTION、後述するPLEASURE FLAGと遜色ないだろう。だか、Aメロ前半、Bメロ前半では音数を極端に減らし、DearDreamを超越しかねない圧倒的な余裕を見せる。メロディーの音数も少なく、PLEASURE FLAGと比べるとテンポも遅い。

 クラップはBメロに入ると再登場し、サビへの期待を高まらせる。

 中土智博先生は、この曲のようなEDMとともに、ロックも得意としていらっしゃるようだ。

 「あんさんぶるスターズ」のUNDEAD「DESTRUCTION ROAD」と2wink「ハートプリズム・シンメトリー」と言えばその作曲ジャンルの違いにピンとくる方もいるのではないだろうか。キラキラしたEDMサウンドを使いこなすとともに、アイドルの持つ力強さと気高さを表現されている中土先生の音楽が、この曲の黒石勇人による勝負曲としての説得力を高めていると思う。

 (ホントに他の2次元アイドルコンテンツにも楽曲を提供している方が多いので、アイドルコンテンツに目がないオタクは、作曲家の名前で検索して ぜひ「作曲家つながり」にもスポットを当てて楽しんでみてほしい。)

 前述したイントロのエフェクトのかかったボーカルは、史実の黒船襲来をうたった

太平の眠りを覚ます上喜撰

たった四杯で夜も眠れず

 の句をアレンジした歌詞になっている。

 そして、

夢だけじゃ物足りないんじゃないの

 という歌詞。もちろんDearDreamへの宣戦布告である。

 ラストサビの「Paint it BLACK!」はこれまでより高い音でのロングトーン。それに重ねて「Shout! Shout! Shout it loud!」と新しいフレーズも登場する。まるで、歌い足りない、届け足りないとでもいうように。そしてその勢いを殺さないまま、ボーカルが途切れた直後にたった2小節で曲が結ばれる。

 貪欲に栄光を求める気持ちを歌った歌詞。暗闇の中に眩く光る黄金のイメージが自然と思い浮かぶ。強気の襲来、当然の開国、そして納得の即位。

 1st LIVE「Real Dream!」では、💜💙💚の3人をバックダンサーとして披露された。2次元ではKUROFUNEとDearDreamが競い合う場で披露された曲だが、3次元で共にパフォーマンスする姿を見られるというのは感慨深い。

 武道館でのライブ「ALL FOR TOMORROW!!!!!!!」では、C間奏の「"KUROFUNE" Shoot! Ride!」のコール&レスポンスを引き延ばし、大いに会場を盛り上げた。

ARRIVAL -KUROFUNE Sail Away-

ARRIVAL -KUROFUNE Sail Away-

  • 黒船
  • アニメ
  • ¥250


KUROFUNE / ARRIVAL -KUROFUNE Sail Away- Music Video (short)





12話 〈PLEASURE FLAG〉

❤️💙💛💚💜

作詞:結城アイラ

作曲・編曲:山口朗彦

 「Here We Go!」の掛け声から、付点四分音符でコードが下降する。次の瞬間「風唸らせ」の“ならせ”に合わせて上昇。再度「Here We Go!」の掛け声でスネアが2、4拍目を強調してノリを掴む。「走れ未来へ」のカットアップで、さらにテンションを上げてAメロに突入する。

 なおフル版のイントロは、静かに鳴りだす低音とパーカッションの16分で刻む音からはじまる。これがかっこいい。

 このイントロをアニサマで聴いたときは、アガりすぎて泣きそうだった。それは自分がオタクだからだと思ったけど、実は曲がめちゃくちゃいいのでは?と思ったらやっぱりそうだ。こんなにかっこいいイントロをありがとうございます。山口朗彦先生。何千人でも何万人でも何百万人でも心をつかめるに決まっている。

 「こんなにも 心」の4拍目、「つかむ?」で2、4拍目で鳴るスネア、そこから倍のノリで刻む「Never Let Me Go」でワクワクしない人間いない!

 Bメロ前「もう決まってるだろう?」の直後のシンセ音〈F♯ E F♯ F♯ A♯ C♯ F♯〉、ドレミでいうなら〈ファ♯ ミ ファ♯ ファ♯ ラ ド♯ ファ♯〉! キラキラしながらも不敵な響きがしますよね。

 そしてBメロではワブルステップの音使いが!ありがとうございます。山口先生。

 さらにサビ前のシンセ音〈D♭ A♭ G♭ F G♭ A♭ D♭〉! ドレミでいうなら〈レ♭ ラ♭ ソ♭ ファ ソ♭ ラ♭ レ♭〉!(ほんとは♯つけたいけどナチュラル記号を召喚できなかったので♭。) 下降ですよ!盛り上げるための!下げ!

 C間奏ではバリバリのダブステップとラップ調の歌詞。そのあと、サンプリングボイスで「D・E・A・R・D・R・E・A・M(ディー・イー・エー・アール・ディー・アール・イー・エー・エム)!」と入っている。現場では、これをコールとしてファンも発音するのだが、なにせ順番がわからなくなる。わからなくても間違っても声を出そう!エールは必ず届きます!

 大丈夫。直後の石原壮馬の投げキッス(などのアクション)によって どうせ間違った記憶なんか失う。

 「ドリフェス!オリジナルサウンドトラック」には、OPサイズと、ライブパートで使用されたショートサイズがそれぞれ収録されている。ショートサイズは、1番→C間奏→ラストサビという構成になっている。これもまたグッとくる。30分のアニメの中で、それまでのストーリーを反芻するのにちょうどいい長さなのである。

 武道館でのライブ「ALL FOR TOMORROW!!!!!!!」では、DearDreamが旗を振るパフォーマンスで披露した。

 ※誤字 ×PLESURE FLAG ◎PLEASURE FLAG

 315いいね超えてる!ありがとうございます。とても素敵な演出でしたよね!

PLEASURE FLAG

PLEASURE FLAG

  • DearDream
  • アニメ
  • ¥250


DearDream / アニメ ドリフェス! OP/ED主題歌 PLEASURE FLAG / シンアイなる夢へ!





ED 〈シンアイなる夢へ!〉

❤️💙💛💚💜

作詞:松井洋平

作曲:渡辺拓也

編曲:EFFY

 青春にメロディーがあるとすれば、このメロディーなんだろう。

 ベース、ギター、ピアノ、シンバル、ウインドチャイムの5パートで、大きく深呼吸をするようなイントロ。下から駆け上がるシンセサイザーが開くのは、

My Dear Dream comes true, 'cause we met here!

And we wanna send you this amazing dream!

 僕らのシンアイなる夢は叶う、だってここで出会えたから!

 そしてこのサイコーの夢をみんなに届けたいんだ!

 の歌詞。

 だ、誰だ、たった2文でドリフェス!を体現できる良すぎる歌詞を書いたのは。

 松井洋平先生か…(納得)。下記に松井先生が歌詞に込めた思いを語っているツイートまとめがあるので、ぜひ読んでほしい。

 ドラム、ベース、ギター、どれもごくシンプルな音色が使われている。曲全体の進行も、変化球なしのストレート勝負。とくにAメロは、四分音符でメロディーが構成されている部分が多く、さらにまっすぐな印象を受けることだろう。

 そんな中でも、Bメロのベースのシンコペーションは、まっすぐで平坦なだけじゃない「道のり」を感じさせる。

 全音全音・半音で「最高のCHANCE!」とサビのメロディーが始まる。この音階の上がり方に親近感を覚える理由は、〈ド レ ミ ファ〉と同じ上がり方だからだ。原曲通りに言うと〈C♭ D♭ F♭ G〉〈レ♭ ミ♭ ファ♭ ソ〉だ。

 2番Aメロでは、高いキーでのピアノのアルペジオが更に感動を誘う。C間奏は、コードを響かせた後にギターソロ。これは、Dream Greeting! とよく似た構成になっている。NEW STAR EVOLUTIONがPLEASURE FLAGと呼応し、シンアイなる夢へ!はDream Greeting! と呼応し合うのである。

 そしてCメロでは「Dear Dream ! 行くよ!」と畳み掛ける。「Dear Dream is waiting us !」。

 ラストのサビでは「シンアイなる夢」と言う歌詞は「シンアイなるあなた」へ。

 ドリフェス!のエンディングといえば。そう、あなたへの笑顔の願いを歌って、笑いあって本日の幕を閉じるのだ。

シンアイなる夢へ!

シンアイなる夢へ!

  • DearDream
  • アニメ
  • ¥250


DearDream / シンアイなる夢へ! Music Video





2期

1話 〈Real Dream!〉

❤️💙💛💚💜

作詞:松井洋平

作曲・編曲:山口朗彦

 相変わらずイントロでブチ上がる。上昇するシンセとリズム、印象に残る二拍三連の後、1小節だけインストが鳴りを潜め、ポップな破裂音でボーカルパートが登場する。この1小節の静音の間に「パシフィコー!」と幻聴が聞こえる。ユメノコドウツアーBlu-layを参照されたし。

 とことん明るい調子で、DearDreamらしいノリで進んでゆく。Bメロ前の上昇するシンセ音に呼応するのがサビ前の一度上がってから下降するシンセ音だ。さらにサビでは転調し、マイナーな響きに変わる。

 これまでの山口さん作楽曲とは一味違う。ダブステップを思わせるブロークンな音色が少ない代わりに、どことなく切なさを感じるようなメロディーをも力強く見せるという楽曲だ。

 

 そしてA〜Bメロの歌詞には、ある仕掛けが組み込まれている。

 ドリフェス!をよくご存知の諸氏ならば聴いてすぐにピンとくるだろうから、今更な話となってしまうが解説させてほしい。

純粋な想いだけが、

ささき「じゅん」や

いつかきっと叶うってこと

かたぎり「いつ」き

地図が心にあること

さわむら「ちづ」る

信じさせてくれた仲間

おいかわ「しん」

奏でるのは絆ってメッセージ

あまみや「かなで」

真っ先に贈りたいよ

おおた「まさき」

顔を上げて、前を向いて

まさき「かお」る

想像なんてできないDreaming Stage

いしはら「そう」ま

ケンカしたって

とみた「けん」たろう

託し合うのは

みぞぐち「たく」や

と、メンバーの名前と同じ音が歌詞に使用されているのである。

 2次元の5人分だけでなく、2番に3次元の5人の名前も使われていることが、全くドリフェス!らしくてたまらない。

 この部分だけではなく、全ての歌詞一言一句が、これからのドリフェス!が進んでいく道を表しているように思う。

 「何度も笑顔に会いにいく」「運命を変えるエール」「一緒に叶える夢は現実に」

答えなんてまだいらない、ここから始まる

ホントウの Dream!

 ドリフェス!の楽曲は応援歌だ。

 自分はどうしたいのか、自分はどうするのか。できるかできないか、ではなく、やってみる価値、些細な日々を積み上げることの大切さ、なんだって楽しむ気持ちで挑むこと、誰もひとりではないと勇気づけ、今日の活力にするのだ。

 

 そしてなにより、3次元のMV、素晴らしい。

若くてお顔の綺麗な男性が楽しそうにしている映像が嫌いな人なんか

この世におらーーーーーーーん!!!!!!!

見てくださーーーーーーーい!!!!!!!


DearDream / Real Dream!  Music Video

Real Dream!

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ドリフェス! /DearDream 1st LIVE TOUR 2018「ユメノコドウ」LIVE Blu-ray





あわせて読みたい参考記事等

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以下、随時更新します。



2話



3話 〈Future Voyager〉

作詞:松井洋平

作曲・編曲:野崎心平



4話



5話 〈Symmetric love〉

作詞:結城アイラ

作曲:Shogo早川博隆

編曲:早川博隆・林武蔵





6話 〈You are my RIVAL〉

作詞:結城アイラ

作曲・編曲:no_my





7話 〈Word!〉

作詞:結城アイラ

作曲・編曲:伊藤賢





8話 〈ユメノコドウ〉

作詞:結城アイラ 作曲:矢鴇つかさ(Arte Refact) 編曲:酒井拓也(Arte Refact)





9話 〈Whole New World〉

作詞:松井洋平 作曲・編曲:本多友紀(Arte Refact)



10話



11話 〈Chivalric Romance〉

作詞:松井洋平 作曲:小高光太郎UiNA 編曲:小高光太郎 歌:日高なな緒(保住有哉), 稲増秋臣(新 祐樹), 黍野宗二(岩中睦樹) from ANSwer





11話 〈ALL FOR SMILE!!!!!〉

作詞:松井洋平 作曲・編曲:EFFY





12話(総集編) PLEASURE FLAG ARRIVAL グローリーストーリー 2032 Symmetric love You are my RIVAL ユメノコドウ Future Voyager 君はミ・アモール Real Dream! Whole New World ALL FOR SMILE!!!!!





Non stop diamond hope~Minami ver.~が私に伝えたこと

 

 

Wake Up, Girls!の、片山実波(CV:田中美海)による Non stop diamond hope~Minami ver.~ を聴いて、強く思うところがあったので書き記したい。

 

 

私は、「Wake Up, Girls!  FINAL LIVE  想い出のパレード」がWUG単独ライブ初参戦の新規ワグナーである。

SSAでの公演だったこのライブの感想は

3月8日はSSA!!!!!!!! - 一方通行につきUターン禁止

に記した。(大した説明もないチラ裏ブログだが)

 

 

私とWake Up, Girls!の出会いはアニサマ2018。

なんとなくペンライトを黄色に光らせて、何気なく〈低い位置で2つに髪を結んだ黄色カラーのメンバー〉に注目しながら初WUGを観ていた。

その後から曲、MV、ライブ映像、アニメ、配信番組、見たいと思うもの、見れる限りのもので、いろいろなWUGに触れた。

もちろん片山実波ちゃんも田中美海さんも、とても素敵な人物だった。

決まり。推しだ。

 

 

 

 

 

 

Non stop diamond hopeとの出会い

 

私は3月8日のSSAに参戦するまで、Non stop diamond hope という曲を聴いたことがなかった。

なんとなく「WUGの7人が別々のバージョンで歌っている曲がある」ぐらいの知識だけを持ってSSAに臨んだ。

 

SSAではトロッコに乗った7人によって、キャラソンメドレーの後にNon stop diamond hopeが披露された。

はじめてのWUG現場に圧倒され続けていた私は、その時すぐには、歌詞の内容や演出について特別強く思うものはなかった。

 

しかし、CDには収録されていないという全員バージョンのNon stop diamond hopeに、先輩ワグナーさんたちが、暖かい感情を滲ませるかのように沸き立っていたことを覚えている。

 

 

その後、私はSSAで披露された曲を中心に、未購入だった曲を順番に購入して聴き込んでいった。

Non stop diamond hope~Minami ver.~を購入したのは、4月17日だった。

 

f:id:ochimtn:20190614210958j:image

 

Non stop diamond hope~Minami ver.~

Non stop diamond hope~Minami ver.~

 

 

 

SSAに参戦して感じたこと

 

SSAで、私は「SSA(よりもずっと)前からのワグナーさん」がきっと多いであろう会場を見回し、自分自身を「SSA後にはじめてワグナーになれる人間」なんだろう。と思った。

 

私は「未来のワグナー」だと。

 

ライブはとても楽しく、強くのめり込んで盛り上がった。

一方でとても客観的で、私は傍観者のような気分だった。

 

「先輩ワグナーさん」の中には、SSAでWUGに触れはじめた「未来のワグナー」を歓迎する一方で、ファイナルツアー「HOME」の公演が素晴らしすぎた、ぜひそこからWUGに触れて欲しかった。というようなことを語る人もいた。

足を踏み入れたつもりはあるが、まだどことなく距離を感じている。

私はいわば「外様オタク」だった。

 

 

Non stop diamond hopeの、私が1番好きな歌詞

 

Non stop diamond hopeは素敵な曲だ。

 

サビのメロディーから始まるイントロ。

 

疾走感のあるリズムと、前へ前へとの推進力を生み出すメロディー。

 

キラキラした音色で彩られた、明るくてまっすぐな気持ちを歌うアイドルソング

 

そして、Non stop diamond hope~Minami ver.~の中でも、私には1番好きな歌詞がある。

 

悲しさ吹き飛ばすくらい

幸せ届けていきたい

過去にも未来にも  そして今この瞬間にも

力を合わせて

 

Cメロにあたるこの歌詞の後半(過去にも〜)は、7人それぞれのバージョンでも同じ歌詞になっている。

 

実波ちゃんの声はとても可愛らしい。

それでいて いつも力強い。

そんな声が、

 

過去にも未来にも  そして今この瞬間にも

 

そう語りかけてきたとき、

 

 

「私はWUGちゃんと、今この瞬間を生きている」

 

 

と強く実感した。

 

 

これまでは、WUGというコンテンツと人物を楽しんだ上で、まだどこか距離を感じていた。

でも、

 

「もうすでに、私はWUGちゃんから充分すぎるぐらいの元気をもらえる人間になったんだ」

 

と感じられた。

 

 

俯いた私の顔を、茶化すのではなく、穏やかな微笑みでそっと覗き込んでくれた。

 

そういう気持ちだった。

 

「先輩ワグナーさん」へ でも、

「未来のワグナー」へ でもなく、

ただこの一瞬 この歌詞 このメロディーだけは、

「今この瞬間の私」へ向けられたものだった。

 

 

 

「列に入れよ我らの味方に」

 

 

 

ミュージカル  レ・ミゼラブルの「民衆の歌」を引用した上記の私のツイートは3月31日のものだ。

 

それまで傍観者だった私が、実感を持って「Wake Up, Girls!が旗を掲げるパレード」に入れたのは、Non stop diamond hope~Minami ver.~を聴いた4月17日だった。

 

それからは、いつでもWUGは私に幸せを届けてくれている。

 

「今この瞬間をワグナーとしても生きられるようになった私」として、SSAでかかった虹を再び見るのが本当に楽しみです。

 

 

#6月28日はWUGSSA_BDの日

 

 

Wake?Up,?Girls! ?FINAL?LIVE?想い出のパレード? [Blu-ray]

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3月8日はSSA!!!!!!!!

WUGちゃんライブ初参戦のドリフェス!オタクによるライブレポ。

 

この文章はほとんど推敲されていません。

 

 

 

 

1番最初に。

「〇〇推し」という設定でライブを見ることによってライブに集中する というやり方をしています。

普段は箱推しです。

アニサマ2018でなんとなく黄色を振って(他の出演者の時にあまり使わなかった色だからという理由)、みなみさんを見てた私は、この日も「みなみさん推しの人格」で向かいました。

2次元は「〇〇ちゃん」3次元は「〇〇さん」で呼びます。

 

 

会場に入る前

連番したドリフェス!のオタクにめちゃくちゃ語りまくってました。一方的に。

「こんだけたくさんの人が、よく知らない人たちが、服とかすごくて 何だアイツ!?ってなっちゃうような人も含めて、みんなみんなWUGちゃんを好きで集まってるんですよね……。アツいですよね~。これは武道館でも思ったんですけど

「早く見たいけど始まったら終わっちゃうから、見たいけど見たくないな~」

「ライブ前って緊張しちゃうんですよね。私が緊張する意味ないんですけど」

「今この中で私がナンバーワン挙動不審です」

みたいなことを喋った記憶がある。

 

 

会場に入って

(SSAってこんなに狭かったっけ)

ってまず思いました。

これは武道館でも思ったんですけど(2回目)。

 

オタクの気持ちは空間を埋めるんですよ。

アニサマ2018で初めて来たSSAは、たくさんの人が集まっていたけど、それぞれ“好き”の気持ちの方向はバラバラだったのかもしれない。

おんなじ方向の“好き”が集まると、こんなにいっぱいの空間を満たすんだ。

SSAって狭いな!

アニサマの時は、あんなに広くて、こんなにたくさんの人が日本にいたなんて!!!って思ったのにな

(めっちゃごめんなんですけど、ステージのレイアウトが違うのかな?って思ったりしたんですが、終演後アップされた会場のお写真見たところ、体感で狭いと思ったのは間違いなかったです。写真で見る方がずっと広く見えます)

 

 

お手洗いに行ったら

多分7 girls war?のお衣装のコスの方がいて(あんまりジロジロ見れなかった)スッゴ!!!!!!!愛じゃん!!!!!!!!!って思いました。

アニサマの時も思ったけど、お手洗い空いてて神。

武道館ではお手洗いのために外まで並んだんで

 

 

ペンライト

ドリフェス!のを使ってごめんね!(ごめんね!って言ったら許されると思ってごめんね!)

みなみちゃんのドリカを作って行ったらメチャ褒められて嬉しかった。褒められるの5億年ぶりの人間みたいな嬉しさになっちまった。

 

ストレートとドリカの2本持ってたから、よしのさんには白と青を並べて視覚混合で水色になったらいいな!という気持ちで、可能な限り好きを伝えられるように努力しました。

だってさすがにWペンライト、買えると思ってた。

 

 

開演前のBGM

で盛り上がるの狂おしいほど好き。

録音音源をみんなで聴くってだけで最高にアガれるオタクという生き物に、じゃあ生で聴かせたろって考えた人すごい。

(そもそも録音技術の登場よりも生演奏の文化の方が先なのでこれはオタク・クソ発言です)

 

 

前説!!!

これ聴いて、アニメ観といて良かった!って思いました。

WUGアニメは大人の事情と業界の荒波に揉まれるようなキツめの話って聞いてたけど、全然。社長と松田さんが、いつでもしっかりWUGちゃんを守ろうとしてくれていたのがとても心強いんですよね。

 

 

OP映像

お一人おひとりの地元の映像って後から知りました。

SSAの前に立ってるWUGちゃんの映像は、勝手にリアルタイム配信だって妄想したらめちゃアガりました。

実際ならもっと陽が落ちてるはずとは思いながら、でも今からWUGちゃんはSSAに到着するんだ!と考えたらもうワクワクでした。

 

 

タチアガレ!

制服!

MVで見れば制服だけでも どなたかわかるぐらいに予習してきたけど、遠いのでいちいち混乱してしまった

混乱しながらでも「Wake Up!」のときに しっかりタメを入れて「ッフー!」するワグナーさんのおかげで私もしっかり「ッフー!」ができました。

 

 

16歳のアガペー

マ~ジで前の席の方が崩れ落ちててびっくりした。

これが噂の「アガペーで崩れ落ちるワグナー」!

「オレモー!」楽しい!

 

 

7 Girls War

楽しいので覚えてきたはずのコールを言えなくても気にならなかった!

歌詞に入ってる部分はしっかり言えました。

 

 

ゆき模様 恋のもよう

履修してなかった曲!

雪の歌なのに、明るくて、切なさはあまり感じないのって新しいな!と思った。

「雪国東北」にとって日常である雪に、いちいちセンチになってたりしたら大変なのかもしれない。

日本一雪の降らない街出身より。

 

 

言の葉 青葉

気持ちを渡していく振り付け、すごくいい。

手を目で追ってた。

「言の葉と青葉の~」

言の葉と 言葉って 何が違うんだろう。

言の葉は、多分、短くて一見意味がないようなものもあるのかな。

「あっ」って言っただけで「おはよう」なのか「危ないよ」なのか「面白いね」なのかわかるときありますよね。

 

 

One In A Billion

アレ?May'nさんいないよね?

すごくMay'nさんのように聞こえる歌声でした。気のせいかもしれないけど、声を寄せてもしっかり歌えるって、WUGちゃんすごいな!と改めて感じた。

 

 

素顔でKISS ME

キターーーーーーー!!!!!

キタになった。

この日はみなみさん推しの人格を採用してたけど、この曲はかやさんが好き。

 

 

恋?で愛?で暴君です!

キターーーーーーーーーーーー!!!!!

キタマン。

わかる。このタイプの曲を2曲続けるとオタクの血管が切れそうになるの、わかる!

 

 

キャラソンサビメドレー

「ゆき模様~」を履修しなかったのも、あんまり必死こいて聞き込んで行くよりも、初参加らしく「知らない!でも楽しい!」になりたくてあえて というところが大きい。

みゆさんの曲なんか、コールはできなくてもコールに合わせたペンラ振りはその場で一瞬で習得できた。

そして これはねえ 羨ましいですよ。

ソロなのに全員いて、ソロなのに会場が7色に染まる。

ひとりだけじゃないソロの見せ方。いいなあ。

11台のトロッコで、近くに来てくれて、手を振ってくれたら、あなたのカラーを振るしかないじゃないですか!!

こんなんパレードじゃんか

 

 

Non stop diamond hope

あえてメドレーと切り離したのは、ここでまゆさんの「声出していけるよね!?」の煽りがあったと記憶しているから。

「イケるっしょ!」

返しました。

え?普通のやりとりですよね?

 

 

ワグ・ズーズー

あ~~~~

あ~~~~~~

女児になった。

ここから妄想

「おねえさんといっしょ」にゲスト出演した6人と、ななみちゃんが番組内で歌うのが見たい。いや見えた。歌詞テロップがひらがなで見えた。

 

 

HIGAWARI PRINCESS

連番の方の推し曲で、隣で明らか荒ぶってるのが見えた。

みなみさんのステッキさばき永遠に見られる投げられるステッキになりたい。

 

 

スキノスキル

スカートふわふわ可愛い~~!

あのお衣装、スカートの形が変わってるからアピールできる振り付けで最高

 

 

僕らのフロンティア

黄色に変えるタイミング違った、けどアリーナの方もちらほら違ってた気がする。

でも混ざってるのが綺麗なのよ。

一斉に変わる美しさも、まばらに揺れる美しさも、どっちも良いもんだなぁと思います。

真剣にタイミング揃えたい!って思ってる方にはすみません。

思い通りにならない人間のアイドルが魅力的であるように、思い通りにならないオタクのもどかしさも好きでいたい。

「輝くあの赤い実」で赤に変える人、良い

みなみさん推しの人格は「この歌詞をみなみさんが歌う意味」をわからないなりに想像してました。

 

 

7 Senses

今思えば、2期(?)のOPをトロッコで歌うのって、アニサマDearDreamがしてたのと同じなんですよね。

WUGちゃん新章の方が、それまでのお話よりずっと王道のアイドルアニメに近いですよね。

次の「極上スマイル」も含めて、この辺はキラキラアイドルWUGちゃんを楽しむことができて幸せです。

「地・時・待ってて・みていて」の順番がわからなくなりそうだったけど、思うように歌ったら合ってた。

 

 

極上スマイル

ねぇ待って好き。

私の1stWUGちゃんはこの曲。

だから、みなみちゃんドリカは、初めて知ったあの時と同じ衣装を着てくれたらな って気持ちで作ったのに、まさかトロッコでのパフォーマンスっていうのも同じの、アニサマ2018完全再現が見れるなんて!

大勝利!

公開リハにて「みなみのソロをちゃんと聞いて」というお達しがあったと聞きましたが、全然聞こえた。ありがとうございます。

その一方でジャージャーのアレもしっかり聞こえて、ワクワクしました。ベストバランス。

アニサマではコールすごい!と思ってただけの曲に自分もコール入れられて幸せです。

 

 

雫の冠

後ろの照明綺麗だった~~

リフレインで見た~

そんなことより、この曲、勝手にまゆちゃんソングだと思ってて。

「座ってたこの椅子を  立ち上がれば誰かが  すぐに座る」

I-1Culbのセンターのことだって思って。

雫の冠」って人が作れるものじゃない。

作れても、その手の内に入れることはできない。

飾ってつくりあげるんじゃなくて、周りの環境にそっと認められる自分でいたい。

これがまゆちゃんがWUGちゃんにいる意味 いたい理由なんだと思います。

「本当の意味 沁みてなかった」

歌詞をなんとなく聞きがちな私には刺さる。

でも、深く考えてないときは、本当の意味が沁みるときを待っているんだと思う。

 

 

少女交響曲

「まだほんの序奏だから 怖いなんて言ってない」

これを今歌う意味

「言ってない」だけで

未来への不安がないわけじゃない。

これを思うとDearDreamのインフィニティ・スカイ

「さぁ、飛んでくんだ!どんな未来待ってたっていい!  いまの向こう側にあるならね」

を思い出すんだけど、今改めて歌詞見てびっくりした。こっちも「シンフォニー」で1番の歌詞が締められてる。

 

 

Beyond the Bottom

1列に並ぶのを見て「このフォーメーションは!」って思ったけど「これはそういうこという曲じゃない」という会場の雰囲気はすごかった。

手を伸ばして、胸の前で縮める振りで、会場中の空気や感情が圧縮されていく。波が生まれて飲み込まれてく。

WUG最高~!」

みなみちゃんがそこにいました。

 

 

海そしてシャッター通り

ぶっちゃけ覚えてない。

海。

私の地元もめっちゃ海です。

 

 

言葉の結晶

ぶっちゃけ覚えてない。

綺麗だな。って思ってた気がする。

 

 

土曜日のフライト

ぶっちゃけ覚えてない。

「忘れないで でも上手に忘れて」

よしのさんの歌い方に感情がどのくらい乗ってたのかわからない。

私の想像よりずっとずっと大きかったせいで、計測不能になってたのかもしれない。

 

 

さようならのパレード

旗を掲げるのは、自分たちの居場所を守る為。

その旗に2色の「Wake Up, Girls!」が描かれていたこと。

どれだけの意味があるだろう。

7色の光の粒がこちらに向かってくるスクリーンの映像。あれは会場を7色に染めたいんだと勝手に思ったんですが(パレードといえばそれの人)、特に変化なく。

みんな何を思ってたんだろう。

 

 

ここのアンコール

での私はhttps://privatter.net/p/4351048に細かく書きました。

 

 

SHIFT

えっ楽しい!!!!!!!

「雨上がりの舗道も美しい夜」

泣いてたから景色が湿って見えた。

真のエクストラステージ、始まった。

 

 

地下鉄ラビリンス

これも聴くには聴いたけど、コールのお勉強をしなかった曲!

でもラップ詞がスクリーンに出てる!

覚えてすぐ言う!

この勢いあるゲーム感!ライブ感!

楽しい!!!!!!!

 

 

TUNAGO

振り付け覚えました!

みんなでできる振り付けという幸せ。

繋いんだんだよ。WUGちゃんが。

ワグナーさんが。

この13000人を繋いんだんだ。

繋げてもらったんだ。

嬉しいなあ

 

 

まだ聞いてない曲がある

私にもっとWUGを教えてくれ

最後まで楽しませてくれ

物足りないで帰らせないでくれ

WUGちゃん

 

最初のアンコールよりも、整った気持ちでWUGちゃんを呼べて嬉しい

 

 

手紙

断片的に、表面的にかもしれないけど、初参加の私にもしっかり響きました。

ありがとうの笑顔があるから、返しあう場所をつくってくれたみゆさん。

昔からのお友達に向けて、中身は変わってないよって おちゃめに笑うななみさん。

片山実波ちゃんと言って1番大きな涙を零したみなみさん。

もうこの7人のセンターに立つことはないという“決意”を語るまゆさん。

桜のように、その淡い輝きと深い青空のあたたかさを持っているあいりさん。

岩手県からきました」にたくさんの思いをあふれさせたかやさん。

こんな私をリーダーにしてくれてありがとうと、右に揃った“家族”にお辞儀をしたよしのさん。

 

 

Polaris

なんかもうメッセージはさっきの手紙でお腹いっぱいだったから。もう曲を楽しんでしまった。

弾む輝きも、響く優しさも、真っ赤な喜びになって、7色になって揺れてる。

 

 

まだまだ物足りないでしょ!

前の席の人ー!!!!!!

アガペーで崩れ落ちるのはいいけど、アンコールしっかりやんなさいよねー!!!!!

いいよ!私たちだけでサイコー超えるからー!

 

 

タチアガレ!

これ!

客席も明るくなったので、みんなが主役。

WUGちゃんが引っ張って、みんなも押し上げる。

ぶっちゃけコール大きすぎて歌声聞こえなかった!

これも、歌詞を噛みしめるより、曲を楽しみました。

 

 

そして

呼び戻すためじゃなく、送り出すための「Wake Up, Girls!」

 

ド!現場だったら、各々の「ありがとう」が飛び交うシーンだ。

でもここでは、声を合わせて1つのオールを創りあげる。

これがワグナー。これがWUGちゃんの築いてきた世界なんだって実感しました。

 

 

終演後

連番の方とご飯食べながらお話しました。

初対面ということもあったけど、やっぱり圧巻のライブ、いっぱいの想い出を、簡単に言葉にすることが難しくて、沈黙も長めでした。

 

ずーっと7人で

いてくれたWUGちゃん。

グループ内ユニット曲やるかな?って期待もあったけど、1人も欠けないということを大切にしてくれたWUGちゃん。

愛だな。

 

お見送り後のファンクラブ

のみなさんと思しき方々が、

「ありがとう」のWUG SSA広告の前でお写真を撮っていました。

カメラに向かって、まさに極上スマイル。

幸せしかない。

 

 

ライブレポは以上

ですが、せっかくの日だから、私の些細な話も書きます。

オタクのライブレポ見にきた方は読まなくてもいいです。

 

 

3.11、私は中学校で卒業式に向けて合唱の練習をしてました。

あぁ、体育館に飾ってある旗が揺れてるよ。みんなの歌声が揺らしてる。すごいなぁ。

そういえば私も揺れてる。頑張りすぎたかな。酸欠かな。

アレ?隣の人も揺れてるよ。みんな頑張りすぎーーーー

ここまで来てようやく地震だとわかりました。

ついに来たのか。とも思いました。

 

静岡県浜松市

幼稚園の頃から、東海地震は大きくて、いつ来るのかわからない、と言われ。

小学校中学校でも1学期に1回の防災訓練。

中には訓練という告知がなくはじまるものもあった。

小学5年では、津波に流されることを想定した、30分間足をつけずに浮き/泳ぎ続ける練習「30分間回泳」を必ずやる。

 

あぁついに。ついに と思った。

のに。

震源は東日本太平洋。

濁流の中、屋根の上にしがみつく人の映像も、多くの人が津波で流されたという報道も、水が引いて茶色くなった土地も、どこか遠い国のお話だと思っていた。

今ですらそんな感じが拭えない。

 

でも、私が見た7人のアイドルは、そんなお話を背負って生きてきた。歳は遠くない。私より少しお姉さんの7人が。

 

震災が、どんなに大変で、恐ろしくて、なんて、とても私が話せるもんじゃない。

でも、Wake Up, Girls!の歌が、さいたまスーパーアリーナという大きな会場を揺らしたことは、私にも話せる。

 

歌声で揺らしたと思った震災から始まったお話が、歌声で揺らされるお話で第2章へ向かう。

次の揺れはいつだろう。

 

できるなら幸せなかたちで。